GUMGIM -2009AW-
GUMGIMはミリタリーパンツを踏襲しつつ「ありそうでない」パンツ。シーズンを問わずあらゆるスタイルにマッチすると思います。
《製作時のエピソード》
昔イギリス領だったインド、そのインドからイギリス軍のパラフィン加工のDEADSTOCKを仕入れたが、生地の在庫に限りが有り、そのエコノミー版として国内でリップストップパラフィン加工の生地を作り、その2つの生地でこのパンツを発表しました。DEADがガンダム、日本生地がジム、2つ合わせてGUNGIMです。因みにこれはGIMの方ですが、見事な経年変化でとてもかっこいいですね。また、サイドの4つの大きなポケットはハンティングジャッケットなどに見られる仕様をパンツに落とし込み、本物の軍モノにはない雰囲気になっています。
太陽と月のベスト -2010AW-
太陽と月のベストはリバーシブルでその日のスタイリングに合わせ変えられるのが良い。特に出張時には着替え要らずでウールなのも上品で重宝します。
《製作時のエピソード》
このベストはサンプル作成に手間暇と時間を掛けたのををよく覚えてます。まずニット柄の資料を集め、そこから慣れないパソコンのイラストレーターを駆使し、イメージに近い柄を組み合わせてその柄に色を乗せ、あれでもないこれでもないと試行錯誤してできたデータをニッターさんと打ち合わせして修正を繰り返して出来た素材です。それを圧縮してるのでとても暖かく冬場に重宝するベストです。裏地はフリースで両面着用できるようにしているので名前は太陽と月のベストと名付けました。
E-Earl JACKET -2009AW-
t.m.p. coopがちょうどお取扱いがスタートしたのが2009年秋冬。E-Earl(イーアール)ジャケットはエレベストや、AUN(アウン)-PANTS等と共に正に”豊作の年”にリリースされた僕にとっても思い出深いモデルです。当時はまだ自分も若く未熟でかっこいい服着てかっこよけりゃOKってノリからある程度年齢を重ねていく過程で、かっこいい服って何か肩ひじ張っていてなんかかっこわるいなと思い始めた転換期に出会ってしまったのがイールプロダクツの服。僕が思うイールの服のよさって計算された上での程よい脱力感。かっこよすぎないのがかっこよくて関係者に配られるルックブックの相場正一郎さんがこのジャケットにエレベストを着てディフェンダーに乗ってるスタイリングもまさに求めていた感覚にぴたりとはまると思って。で、このジャケットは生地もクラシックな千鳥格子のウールの生地で一見おじさんっぽいんだけど、ツィードよりも軽くて着やすく、まさにE-Earl(=気楽で高貴な)なジャケットで僕はオイルドのコートやミリタリーコートを着たりして冬はかなりヘビロテで着ました。革のソファに付いてた付属からヒントを得たというアンティークな風合いの革のボタンもお気に入りのポイントです。ボタンってやっぱり命で、ボタンひとつでその服の方向性を良くもわるくもするわけで、そんな事もあって、その後の陶器ボタンに繋がる布石になったジャケットじゃないかな?と思っています。
《製作時のエピソード》
テーラージャケットの仕様や雰囲気を残しつつ屈強な働く男をイメージして作成しました。EasyでEarlなジャケットなのでE-Earlジャケットと名付けました。この頃は色んなことにトライアルしてました。このジャケットには使用してませんが 古びた風合いを出すため鉄サビ染み液で生地を染めたりしていました。知識も経験もなかったですが少しでも自分たちの想像に近づくために闇雲に創造していました。ですのでたくさんの失敗を経験しました。でもその時間やお金を費やしたことで勉強になったこともたくさんありました。このジャケットで使用しているレザーボタンもその一つです。そう言った意味でも忘れられないジャケットの一つです。
ユーティリティーショーツ -2012SS-
2012年リリースのユーティリティーショーツ。その名の通り使い勝手のよい、水陸両用のショートパンツ。販売当時は「水着としても使えます」というキャッチフレーズで提案していた記憶がある。その後数年経った今でも、水着として使っているというお客様の声をたまに聞く。かく言う自分も夏の旅行のお供に、毎年のように海へと連れ出した。宮古島でデビュー戦を飾り、マウイ島沖にあるモロキニ島、タイのナンユアン島、インド洋のソマリア沖約1,000kmに位置するセーシェルなど世界の海と戯れてきた。正直なところ本格的な水着と比べるとやや乾きが遅いが、南国の強い日差しと爽やかな風がすぐにそれを忘れさせてくれる。そして水着としてだけでなく、陸ショーツとしての顔も良いので、泳いだ後は着替えることなくそのまま行動できて便利だ。しかし昨年、恥ずかしながらウエストが合わなくなり突然の別れが訪れた。来年の夏、新素材で改良版をリリースしていただきたい。
《製作時のエピソード》
普段から頻繁に海やプールに行かない人は、突然の海やプールのお誘いの時に困らないように日々タウンユースでも履けて、そのまま水の中に飛び込めるショーツを開発しました。生地の表面は若干起毛している生地を選び、フロントジップ仕様でスラックス要素を足し、タウンユースで海パンを履いているように見えないようにしました。また海パンとして使用するときは、すべてのポケットに水抜きのハトメを付けて、股下はアクティブに動けるように クライミングパンツによく見るガゼットクロッチ仕様にしているのも特徴です。
ウエストターンJEANS -2004AW–
いわゆるジーンズメーカーの出すジーンズと全く異なる発想で作られたジーンズに驚き!!でした。物の見方によってこうまで違ったアイテムが出来るって面白いな~って思った一本。ウエストは折り返すし、当時では珍しいシルエットの太いジーンズ。定番も良いけれどEEL Productsのこういった御茶目な一面が好きなポイント。
《製作時のエピソード》
股上が深く普通に着用しても腰で履いているようなデザインでした。もともとこの品番のAがあってそれは、本藍のスラブデニムでそちらをガンダム、Bをジムとして展示会に出しました。Aのオーダーは3本くらいだったと思います。 Bは30本くらいだったと記憶してます。このパンツが時間や時代、気分など色んなものと衝突して砂浜デニムができたと思ってます。
AUN VEST -2009AW-
この当時のイールプロダクツは毎シーズン「ベスト」がリリースされていていつもとても楽しみにしていました。表裏が異なる生地の袋縫いの代名詞と言えば「サクラコート」かもしれません。表裏でウールとコットンの異なる素材袋縫い縫製をしているという点とチェンジボタンでリバーシブルという利便性が「サクラコート」よりもマニアックかつ自由で面白い発想ながら良く出来ていると思うのです。表裏の異素材が「阿吽の呼吸」で成立しているから「AUN VEST」。イールらしさを感じるネーミングも素敵です。出逢った頃のイールの二人(高橋さんと澁谷さん)は私にとってビジネスパートナー以上に「いつも楽しそうにしている2人」その印象が強く展示会でも無いのに東京出張の二週に一度は会って新幹線の時間まで飲みに行くというのが恒例となっていました。
「お洋服は自由で楽しいもの」
長くこの仕事に携わっていくうちに忘れてしまいがちなその当たり前で最も大切なことをいつも教えてもらっていました。このベストの「阿吽の呼吸」は当時のイールの高橋さんと澁谷さんという故郷新潟からの同級生が当時まだ高円寺に一緒に住んでいて似ているようでなんだか異なる二人のあのなんとも言えない話の掛け合いやツッコミを思い出すことが出来る僕にとっては「隠れた名曲の懐メロ」のようなものなのかもしれません。。。。お洋服に名前やあだ名を付けたりそこに物語を添えていくこと。
今の僕のイールプロダクツからの影響が大きくて半分くらいはイールプロダクツの影響だからバファリンみたいな存在です。
《製作時のエピソード》
SAKURA COATの縫製に使われている袋縫いで作り上げたVEST。おそらくこのAUN VESTを発表したAWは、これの他にAUN CREWも同時発売したと記憶しています。柿本さんがおっしゃる通りAUNは「阿吽の呼吸」からネーミングしており、金剛力士たちの阿吽の呼吸のように、 表地のWOOL裏地のスエット地の、特性が異なる2つの物が合わさった時に、絶妙な掛け合わせで一体化するあの感じをこの洋服に込めまた。そんな強い思いとは逆に、袋縫いが生み出す、まるでアルプスの少女ハイジに出てくるペーターが着ていそうな可愛らしく柔らかい雰囲気が個人的には大好きで私もよく着ていました。