ミャオ族を知らないEEL Nakameguroのお客様も、弊社ブランド知らないミャオ族コレクターの方々も、さまざまな方々にご来場頂き大変賑わった2週間となりました。
また、我々EEL Productsにとっても”ヨウフク”という枠を大きく外し、身にまとうという単純な”フク”という幅広い世界を見せてくれたミャオ族の服たち。
今回、この展示会を開催してくれたミャオ族の服や布を買い付けられている坂井氏に、ミャオ族とは一体どのような民族であるのかを訊ねてみました。
中国は全部で56の民族がいて、漢民族が1つの大民族で残り55の少数民族がいるんですけども、ミャオ族は少数民族の中でも割りと人数の多い少数民族で、中国に800万人位いるのかな。
あと東南アジアにも、タイとかラオスとかにも点在している部族なんですね。彼らの歴史はものすごく長くて、それこそ漢民族と同様、それ以上に古い民族ではあったんですけども、えーと….(沈黙)、ミャオ族の歴史を一口で言うとずーと迫害歴史なんですよ。もともとは中国のもっと良い所っていうか、チュウゲンって呼ばれるんですけども、まあ中国の一番肥沃(ひよく)な地域に住んでいたんですけども、そこにいわゆる漢民族がダーと入ってきて、今からどれくらいなんだろ?4000年前くらいかな、
ものすごい過酷な戦いがあって、結局その戦いに負けて漢民族に追われ追われして、だんだん西へ西へこう移動してきたみたいなんですね。でまあ最終的には今住んでいるような貴州省とかあと東南アジアの方ですよね。
―やっぱり、山間部というか平地では無いところに逃げてきたって言うことですか?
そうですね。辺鄙なところにずーと追いやられてしまっている民族ということですね。
その歴史の中で、現代社会とずーとズレが続いてしまっているわけですよね。秦とか唐の時代になっても、100年200年くらい前までもずーと続いてしまったんですよね。
で彼らも結構何度か抵抗もするんでするんですよね。大反乱とかを起こしたりするんですけれども、戦いで民族の1/3が死んでしまうような、過酷な運命に有る民族なんですよね。
まあ、今でもかなり迫害されてますけども、そういう民族ですね….。ミャオ族ってのはね。
―そうなんですね…そのミャオ族の民族性や性格ってどんななんですか?
あ〜自分の個人的な印象なんですけれども、ミャオ族はとても穏やかですよね。
漢民族とかチベット民族と比べてもですね。まあ体系的にも小柄ですし、男性も女性もみんなちっちゃいんですよ。
男性でも平均170cm以下かな。そして、性格もほんと穏やかで悪い印象はないですよね。
おそらく、血がタイやラオスの穏やかな民族に近いんですかね。
でも、たぶん怒ったら絶対に怖いですよ、彼らは。笑
― 坂井さんとミャオ族のモノツクリに出会った時のお話をお聞かせください。
そもそも学生時代からタイやラオスや中国などに行ってまして、その時に少数民族の存在を初めて知りました。
でも20年前に会社をやめて中国で二年間語学の勉強をしたときは、正直ミャオ族の存在は知らなっかたんですよ。たまたま中国の南西部に行った時に、ミャオ族の布を扱う人と出会って飲めり込んでいきましたね。
なので、直接ミャオ族と会ったとかのインパクトの有る出会いでなく、彼らの作るものと先に出会ったって感じでしたかね。
初めて見たときは、そりゃもう、なんじゃこりゃ~って感じでしたね。
で、その間は毎週その方のところに通って通って、これはどの地域の何族だとか、染や刺繍の技法を教わっていましたね。
私のような仕事は、なかなか理解や評価はされないですけれども、ただやっぱり学生時代からアジア回っていて縫いや布は好きでしたし、20年前はミャオ族はそこまで日本ではほとんど紹介されていなかったですし、自分で見るのも初めてのモノばかりでとても刺激的でしたね。
実際に着て楽しむ方もいますが、僕はやっぱり見て調べて楽しむって感じですね。
ミャオ族のモノツクリを見ながら、お酒は何杯でも飲めますね。
「ミャオ族は文字を持たなかった。」
―次にミャオ族の刺繍の意味や、なぜ彼らは刺繍を施すのかを教えて頂けますか?
まあ、先程もお伝えしたとおりミャオ族の長い歴史の殆どが戦いの歴史なんですね。
漢民族と戦って自分たちの故郷を追われ追われ、多くの人々が怪我や病気になったりなど悲惨な歴史がある中、彼らは漢民族みたいに独自の文字を持っていなかったんですね。
おそらく、自分たちの過酷な歴史や運命みたいなものを、なんとか自分たちの後世に伝えようとしたんだと思うんですよ。
その時に、例えばそれは口頭での民話であったり、歌であったりそういうものも有るでしょうし、その伝える手段の1つとして刺繍があったんだと思うんですよ。
だからミャオ族の刺繍はそれぞれ意味が込められているんですよね。だからこそ、これだけ突出したすごい技術が残ったんだと思うんですよね。
「ミャオ族のお母さんはチョウチョ。」
―刺繍にはそれぞれ意味があるんですか。
ありますよ。漢民族に追われてきた歴史の刺繍や、自分たちの祖先の姿を表現したモノも多いですね。
例えばこれは蝶ですけども、ミャオ族ってのはチョウチョから産まれた民族と呼ばれているんですよ。昔、チョウチョがいて川の水と恋をして、12個の卵を孕むんですね。
で、12年後にその12個の卵がかえるんだけれどもヘビが生まれたり、トラが生まれたり、牛が生まれたり、その中の一つがミャオ族だったんですよ。
だからミャオ族の先祖っていうのはチョウチョ。
彼らは”チョウチョお母さん”って呼ぶんですよ。
(後半へ続く。)
後半では、ミャオ族が我が子を思い精密な刺繍を施す意味と、彼らの刺繍と生命に対する考え方、
そしてミャオ族に魅了された坂井さんとはどの様な人物なのかをお伝えしていきたいとおもいます。
中国少数民族の服飾Miaomiao
坂井 昌二
福岡県出身。学生時代から中国文化の興味を持ち、ミャオ族に出会い彼らに魅せられ30代に会社を辞め、中国少数民族の文化に陶酔する。
年に数回中国貴州省に出向き買い付けをし、中国少数民族のモノツクリを世に伝え続けている。彼を信頼する日本のコレクターは多く、PORTER CLASSICの創立者 吉田克幸氏とも親交が深い。
miaomiao@onyx.ocn.ne.jp