19SSシーズンに一緒に製品作りから始まり、直営店でイベントをやったりとアミイゴさんには色々とお世話になった1年でした。作品はもちろんのこと、僕らスタッフやお客様はアミイゴさんの人柄にとても魅了されました。純粋にアミイゴさんのことを色々知りたいと思い、このような場を設けさせて頂きました。製作についてや普段お伺いできないようなお話が聞けたらいいなと思っています。
「その日がとても暑い日で、炎天下の中歩いてたときにテキーラを飲みたいなと思ったときに考えついたんだよね。」
まずアミイゴさんの名前の由来ってどこからなんですか?
セツモードセミナーに入って、ある展覧会に出したらすぐに入選したんだよね。それで絵を描くのが面白くなって、ワーって描き始めて作風の幅がでるようになって、作風が二つになったから、本名と別の絵柄で偽名で出しちゃおうと。それでその日がとても暑い日で、炎天下の中歩いてたときにテキーラを飲みたいなと思ったときに考えついたんだよね。そしたら事務局から作品の当選の連絡があってそれでバレたと思ってさ、2点は別の名前、1点はもともと使用してた名前を使ってたから事務局から偽名を使ったことを咎められるのかと思ってたから色々バレないように話ました。それから名前の必要性を感じて小池アミイゴになったんですよね。
「長澤節と出会ってまず”人は美意識で生きていいんだ生きれるんだって、逆に美意識を失ったら死んだも同然だ”みたいな感覚は得られたよね。」
セツモードセミナーというお話がでてましたがどういったところなんですか?
基本的に年齢や入学条件はなくて、長澤節自体は人の才能は試験ではわからないから入学試験もないんだよね。僕が入った時なんて先着順だったからね。授業の内容はデッサン中心で基本2年の在学。長澤節と出会ってまず”人は美意識で生きていいんだ生きれるんだって、逆に美意識を失ったら死んだも同然だ”みたいな感覚は得られたよね。それからまあ多様性なんていうのはセツ入った瞬間から当たり前すぎちゃって考える間も無く、世の中には色々な人がいるっていうのは受け入れるしかないって事かな。また学校では人の作品をみる事が一番の勉強だと長澤節は言ってた。先生が教える事は限りがあるけど、自分から発見していくと、その中で人と違うことばかりを求めるんじゃなくて、人と同じものを発見したときに、それに近づいて見るそれでその絵を描いた人か興味を持つ、そこで自分と共通のものを持った他人に出会うってこと、それを発見することも個性だと。人と違うことばかりをやろうとするのは個性とは違うというか、偶然生まれ育ったこの世界の中で、あの人自分と似たものを持ってるっていって近づく、その発見が個性だと。オリジナルを作っても、ちゃんとそれで対話できてなきゃしょうがなくて、何かこう自分を振り回してやったとしても、それをちゃんと社会にコミットさせていくためにはやっぱりそれって他者を発見していかなくちゃいけないってことなんじゃないかなと思うけどね。自分本位で自分勝手な線を引いてもそれは伝わんないよね、だからその両方自分の経験と社会で出会ってく中で作り上げていくものが個性だし。
「過去の作品を見る暇ないね。検証してもヘタクソだから、それよりももっと他の良いものを見た方がいいよね。」
絵を描きたくなくなったり、描けない事ってあるんですか?また自身の過去の作品を見返したりすることってあるんですか?
描けなくなる事はないね。疲れれるとかめんどくさくなっちゃうことはあるけどね。描けって言われれば描きますよ。描けなくなるというか良い絵が描けるか描けないかかな。人に喜んでもらえる絵が描けるか描けないかの問題なので。どんどん前に描いた絵に興味がなくなっちゃうとかはあるけど。他人の評価は聞かない。全く俺と同じ人生をトレースして生きてる人に、あの時は‥とか言ってもらうならいいけど、こっちもいろいろあるからね。前の方がいいとか言われても、それはあなたの趣味趣向ですよね。申し訳ないけどぐちぐちそういうところでやるのが好きな人から比べたら、ずーっと一人で前の方走ってるからね。その価値観で言うのみたいな。東京でそんなこと言ってないで中国こうだよあそこはこうだよ誰々はこう思ってるよって、それで俺はまだそこに至らないから毎日走ってるだけであって、どこかで完成っていうのもないし、今そこで過去のことを言っても、その時は精一杯やったつもりだし、確かに至らないものもあるかもしれないけど、けど目の前にやることはあるんだよと、それが上手くいくかいかないかもわからないけど、とりあえずそれやんないと次に進めないから。
過去の作品を見る暇ないね。検証してもヘタクソだから、それよりももっと他の良いものを見た方がいいよね。インターネットでもいいし、実際に美術館に行くんでもいいし、良いもの見れるんだから。世の中にあるほとんどのものは自分が作ったものよりいいものだよ。でも世の中のクソみたいなものにでも学ぶものはあるからね。自分の過去に作ったものを悔やんでもしょうがないし、それを誇らしげに言っても負けちゃうよね。目の前に作られてるモノコト、例えば、今ここから見えるそこの街路樹とかも、あれを刈ってる人がいるとか思うと負けちゃうなぁって、あそことかまっすぐに切りそろえてるじゃないですか。やばいなぁとか、レストラン行っても厨房とか見て、俺がのんきに飯食おうとしてるのにあいつ働いてんなぁと、地面に穴あけてる工事の人みても、それに比べて自分どうなんだろうと。サッカーのベルギー戦観るのとは訳が違うけど、いつも危機感というより、頑張っている人に比べて自分はどうなんだろうと。すごいなと思うことにたいしては素直かな。ただ、喋るとすごいひねくれてる。たぶん、照れ隠しなんだと思う。色々なコトが自分の中に入ってきて疲れちゃうから、ちょっと汚いこと言って許容量を抑えてるのかも。
「やる事やった上で誰も踏み込めない場所を小さくてもいいからポンと一つ作る感じかな。そのためにエネルギー使ってます。」
今回イベントを一緒にやってアミイゴさんのバイタリティーに驚きました。うちの父とアミイゴさんが同じ世代ということもあり年齢を感じさせないエネルギーを感じました。アミイゴさんのエネルギーの源ってなんですか?
お客さんがいたら真剣にならざるえない。僕自身、自由を求めていて、やることをやらないと自由にはなれないと思っていて、好き勝手やるのが自由ではなくて、やることやって責任を果たして、自由とは個人の責任と同等だと思っています。やる事やった上で誰も踏み込めない場所を小さくてもいいからポンと一つ作る感じかな。そのためにエネルギー使ってます。自由を得るにはハッピーになるには関わる人を引き上げてまわりにいる人を笑顔にして、なんか嫌な顔されて帰ったら自分が自由ですと言っても嘘になる。お客さんと僕はイーブンであるべき。お店を経営してるわけじゃないけどわざわざ来てくれた人に対して、今回みたいにイールの皆さんとは、立場が違うけど僕がその場に入ったら自然に真剣になってしまうよね。
今回、色々な形で小池アミイゴさんに携わらせて頂くことができ、様々なことを学ばせていただきました。 こんなこと僕らが言うのはおこがましいが、小池アミイゴさんはミステリアスで少し照れ屋だけど、人情味あふれていて、一緒にいる人の気持ちを和らげるような懐の深さを感じました。また何より自分自身に厳格であるからこそ、他者への配慮があり、愛情深いんだと思います。アミイゴさんの作品は、自身の人柄が大きく反映されており、イラストを描くのも、洋服を作ることも「作り手の人柄や想い」が大切であることを改めて教わりました。
小池アミイゴ
群馬県生まれ。長澤節主催のセツモードセミナーで絵と生き方を学ぶ。フリーのイラストレーターとして1988年から活動スタート。 書籍や雑誌、広告等の仕事に加え、クラムボンのアートワークなど音楽家との仕事多数。1990年代はいくつかのバンドで鍵盤をシバキ倒し、DJとしてもCLUB活動。1996年より音楽と唄のための時間“OurSongs”をスタート。多くの表現者の実験場として機能。2000年以降は日本各地を巡り、地方発信のムーブメントをサポート。2011年3月11日以降、東北各地を巡り展覧会「東日本」開催。絵本「とうだい」(作:斉藤倫、福音館書店刊)の作画を担当。現在、羽田空港第1ターミナルで小山薫堂氏とのアートプロジェクト「旅する日本語」を展開。
小池アミイゴ個展「東日本」そして「旅する日本語」原画展
2019年1月10日(木)-19日(土) ・日曜日休廊
11:00~19:00・最終日~17:00
SPACE YUI
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